訓練校の授業は週3回、毎日ではそりゃ大変ですからね。
日中の作業を終えて夕食を済ませてから、そう7時ごろからでしょうか・・・
講師は石材店の親方、社長、元社長・・・ようは石屋の親父
なんです。

専門用語に専門知識のオンパレード、他の業種の方々が入る余地はありません。もちろんのその道の権威、業界外の専門家という人もいることはいるのでしょうが、この学校では必要とされてはいないようです。予算面の問題でしょうか!?

講師も生徒もそりゃわかってますよ。現場仕事が遅くなれば遅刻するのは止むを得ませんし、肉体的にきつい日が続けば居眠りするのも当たり前のことです。当然大目に見てくれます。
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ものは考えようで、そういう人情味というようなものが経営者との距離を近くし、互いの弱みを理解しつついわゆる大人の関係を築いて行っているような気がします。
「学校」にもいろいろありますからね。

中卒、高卒、高校中退、大卒、まれには社会人になってからと、年齢差のある青少年が同じ1年生として石屋小僧を始めます。
当然スタートラインは全く同じと言うわけではありません。
算数もおぼつかないような少年もいれば、石屋の跡取りになるよりはその卓見と博識振りをもっと違う分野で生かしたほうがいいのでは?というような博学多才の士がいます。
図面の読み取りや店舗経営のことを考えると、基礎的な学力はあったほうが良さそうです。

しかし、加工技術は体で覚えるという大原則からすると、実務面においては頭でっかちになっていない、つまり上からの指示を素直に受け入れられる人のほうが上達の度合いが早いようです。

人それぞれだし、工学院へ入学した背景も様々でしょうから一概に決め付けるわけにはいきませんけどね。
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見習い工は技術工学院という職業訓練校に通っています。ずいぶん昔からカリキュラム等履修内容は殆ど変わることなく、3年間通うことによって石材技能士等の資格を得、将来的には指導員免許を得ることが出来るシステムになっています。

全国から訓練生を受け入れており、昼間は各事業所で石材加工や現場仕事に従事、夜は工学院に通うという日々を見習い工は過ごすのです。
いわゆる、石屋小僧です!

どの事業所に入るかは千差万別。
大学の入学式後に繰り広げられる各部や同好会の勧誘競争のような光景はありません。それぞれの事業所がそれぞれのルートで見習い工を入社させるのです。縁故、飛び込み、この親方に惚れた・・・などと相撲部屋に似ているかもしれませんね。
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地方の石屋さんが、跡継ぎに箔をつけさせるため(様々な資格を取得できます)、また、他人の飯を食って来い、と本来の意味での修行に出す目的、あるいは最近はもちろんありませんが食い扶持を減らすため(30年ぐらい前には現実にあったらしいです)、という事情で全国津々浦々からやってきます。
地方の大多数の石屋さん、親方衆にとってはかつて自分が歩いた道、青春を過ごした地、なのです。息子よお前も、という気持ちは多々あると思います。
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前回の状態から約1時間半の加工で写真のようになりました。
顔や手らしきものが出現し、衣の裾もふっくら。

姿かたちはわりと早くそれとうかがえる形にはなります。
完成まであまり時間がかからないのではないかと思われがちですが、たくさん削れる道具で細部を気にすることなく加工できますので、形がきちんとイメージ出来てさえいれば粗造りというのはスイスイと進むのです。

どんどん形になっていくので、とても楽しい作業といえます。
少しの変更であれば今のうちなら十分可能ですし・・・
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アウトラインが出てからの方がはるかに長く、そしてイライラとの戦いの連続となります。

細部の仕上げには根気と集中力が必要とされます。
最終工程など、仕上げ方と部位によってはただきれいに滑らかにするだけという、ある意味単純作業に近い状態になります・・・イライラの原因ですね。

ああすれば良かった、などと後悔しても時既に遅し、完成間際に至ってはどうしようもありません・・・イライラは最高潮に達します。
趣味なのにストレス溜めてどーすんの!? ってとこですね。

それだけに現在のこの工程は、楽しくはありますが完成時の満足度を左右するほど大切なのです。
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I君に4の半分はいくつだい?と尋ねたら、しばらくしてから2・・・ですと返ってきました。
I君に4の4分の一は?と尋ねたら、1・・・かな?と返ってきました。
I君に5の4分の一は?と尋ねたら、・・・ ・・・返答はありませんでした。

I君はとても作業に時間がかかりますがサボると言うことを知りません。
I君は仕上がりが比較的雑ではありますが手を抜くと言うことを知りません。

I君は朝、必ずおはようございますと元気に挨拶をします。
I君は目上の人の指示に逆らったことがありません。必ず指示通りやり遂げようと努力します。
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その結果、4年目ぐらいから徐々にではありますが周囲の信頼を得て一人前と認められ、仕事を任されるようになりました。

日を追う毎に作業にかかる時間は短縮され、雑な仕上がりは製品レベルに達するようになりました。

I君は石屋小僧を10年以上前に卒業して隣県の実家に帰ったのに、ある日突然、
「酒飲みに行きませんか?」
と誘ってくれました。

計算が出来るかどうかや効率的な作業が出来るかどうかだけで、一人の人を評価できるものではないと教えられました。
短期的な視点だけでその人となりを評価できるものではないということも教えられました。
そんなI君とかかわりを持つことができて良かったな、と思います。
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芸術作品を作ろう! 懲りずに4作目です。

タイトルを決定しておいてから、どう表現するかという手法で作成しました。
かなり具体的にイメージできたので、これはイケルゾ!と意気込んで取り掛かったのは良いのですが、前作で感じたジレンマに支配され、かき回され、ちょっと違うかなぁ・・・という出来上がりになってしまいました。

石を加工する過程においては、硬いけどもろいというのが難点です。
硬すぎるがゆえに、薄くなった部分や尖った部分などを削る場合に、ハツリ工具の振動などであまりにもあっけなくもげてしまうという特徴があります。

従って、必要としていた箇所が欠けて無くなってしまった場合、テーマを逸脱するほどの致命傷であれば新たな材料で作り直しますが、少し路線変更して仕上げるということも可能であり、否応なしに行われた変更がかえって良い味を出したりしますので、つい楽な道(作り直さない)を選んでしまったりもします。
今作品はそれにハマッてしまったようです。
テーマを逸脱してはいないと思う反面、当初のイメージではないな、と。
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波と岩、時々雲、というのが今シリーズのアイテムとなっていますが、それに縛られすぎた感があったことは否めません。

とある展示会に「波の上」「天使の階段」と共に3部作として出品したのですが、一番の自信作は実はこの作品だったのです。前述のとおり少し反省はあるにせよ、タイトルとマッチしているのはもちろん、自己の内面を端的に表現できたのではないかと思ったからです。

賞をいただいたのは「天使の階段」でした。

自己満足と他人の評価はかくも違うものかと思い知らされました。
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作業を中断して一服、少し煮詰まってしまったな感じたときに、ふと思いついて製作中の写真を撮ってみました。
!?これはいけるのではないか?

作品を披露して、使ってる道具を披露して・・・
ならば製作過程を綴ってみるのもまた一興かなと。

直方体に切った石に基本寸法と大雑把な絵を描いてから荒切り、ハツリ、という手順で工程は進むのですが、初回はとりあえず場当たり的に投稿してみた、というところです。

絵を描いた時点から披露したい気持ちは山々なのですが、当然の如く時は戻せませんので別の作品で初めから紹介しようかなと思っています。
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今作品のテーマは「女神」です。台座を含めた総高さは約47センチ。
テーマをそのままタイトルとする場合が多いのですが、心境の変化や作り直しも考えられますので、完成後に正式タイトルを決定します。
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今作品、実は作り直しているのです。イメージを表現し切れなかったなどという高尚な理由ではなく、荒作りが終わった段階で台座部分をはつろうとしたらほっそりした首がもげ落ちてしまったのです。首を細くする前の段階で衝撃系の道具は使用を終えておかなければならないのに、元職人にあるまじき初歩的なミスでした。
業界用語?で「パンコロ」と申します。いわゆる「おシャカ」ってやつですね。

当初は赤い石で制作していましたが、購入すればともかく端材が出るのを待っていたら何時作り出せるかわかりませんので、容易に手に入る青系の石を貰い、気を取り直して再開しました。
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今日は小牧山へ行ってきました。
「愛知の130山」という本を購入し、いつまでかかるかわからんけど全山踏破しようと目標を立てたわけです。
思い立ってからわずか2ヶ月足らず、まだまだスタートしたばかりというところです。
現在のところ4峰目、妻の趣味に引きずられるように始めた山歩きですが、空気は美味いし、頂上に立ったときの爽快感、健康的だなぁ~という自己満足も感じられて、こりゃまあなかなか良い趣味ではないかと思っているところであります。

中高年の山の事故が増加していると報道にありましたが、我ら夫婦は低山であっても慎重に装備を整え、天候や体調が怪しい場合は中止するというモットーでやっております。決して無理はしません。

今回の小牧山は山頂まで約10分、まあハイキングコースみたいなものですから、手提げ袋にマックのハンバーガーをぶら下げて歩きました。

市役所の裏庭といったところでした。標高はわずか85.9m、三角点から間近に市街地が見えていました。
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頂上にある歴史館(旧小牧城だと思う)の土台となっている石垣を写真に撮りました。
野積み、もしくは乱積みと呼ばれている積み方で、全国各地の城郭においてはもっと大規模に積まれていますが、たとえ小規模であっても一つの大原則があります。
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石の角が4つ集まっている箇所はないということです。
三叉路はあっても四つ辻はありません。上物および石自体の重力で安定は保てるものの、地震の横揺れ等を考慮した場合に崩れにくいという先人の知恵が凝縮されているのです。

薀蓄をたれてしまいましたが、山登りをしていても石にまつわることをあれこれ考えてしまう石おじさんです。
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芸術作品を作ろう!
の3rdバージョンであります。
前2作同様、頭の中にひらめきました。

石彫というのは、粗造り段階であってもある程度具体的な形になるまでに
時間がかかってしまうのが難かな、と今回痛感しました。

最初のイメージが持続しない、少し変更したくなってしまう、そしてそれが良いことかどうか悩みだすと、そこから一歩も前に進まなくなってしまう。
産みの苦しみと言う奴ですかね。
石に限ったことではないでしょうけど、何かを創造しようとする時には避けて通れないジレンマかもしれません。
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ヒントになったのは「天使の階段」あるいは「ヤコブの梯子」などと称される、例の雲間からの曙光であります。
少し天邪鬼的ですが自分が描いたイメージとして光ではないもので表現しようと思い、直線的にならないように作成しました。

各中継点にあるのは「神殿」・・・のつもりであえて抽象化しました。
(小さくごちゃごちゃして、いったいこりゃ何だい?となってしまってるかも)

降りるのか上るのか? 天使が降りてくるのか天使のもとへ上っていくのか?
見る人それぞれの心理状態、見たときの心理状態、その時々で解釈は異なりますが、それで良いと思います。
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コヤスケの次は鑿の出番です。
この道具も、セットウの芯を頭に正確に当てるのがなかなか難しい。
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石屋小僧は、鑿を持つ手に血豆を作りながら習得します。
セットウを振るうほうの手も、振り上げる腕力が必要なのはもちろん、掌が柄で擦れるため、水ぶくれや豆が出来ます。

指の付け根の豆がタコと化して硬くなる頃に、ようやく一人前かなぁ。
リズム良くハツれるようになるには、
文字通り血のにじむような試練が要る
という事です。

リズムが良いということは、セットウと鑿の芯同士が当たるということであり、反発力が増すため、振り上げる力が少なくて済みます。

お年を召した職人さんが結構な長時間にわたってカンコンと鑿音を響かせることが出来るのは、その反発力を利用して体力の消耗を最小限に抑えているからなんですね。

白く筋がつくのは、上から順にハツり下ろしているからです。
こぶが多いところは力をこめ、少ないところは軽く流し、コッパ(木っ端=破片、削りカス)の大きさは力加減によってその都度違います。もちろん石の材質によっても違いますが。

端から順に幾本もの筋が出来ていくに従って、荒削りながらも凹凸の度合いが少なくなり、平らに近くなっていきます。
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芸術作品を作ろう
の2ndバージョンであります。
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頭に浮かんだ構図を元に心象風景を形に表そうとしたのは、「波の上」と同様です。

いまひとつ思ったのと違うのが出来てしまい、少々不満の残る作品となってしまいました。
波打ち際から雲上を経て、紆余曲折、山あり谷あり、人生を表わすぞ!

意気込みは良かったのですが、う~ん、いまひとつ表現し切れなかったというか・・・
ニュアンスは何となく伝わるのではないかと思うのですが、如何なもんでしょう?
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写真も何となくうつりが良くなくて・・・
でも、一応作品として発表したので紹介しておきます。
何ともはや、コメントまでもが歯切れが悪くてとっても自己嫌悪です。
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